海龍王寺 精緻な十一面観音像

奈良

海龍王寺(かいりゅうおうじ)は天平7年(735年)に遣唐留学僧・玄昉(げんぼう)が初代住職となった、聖武天皇勅願の寺院です。元々は藤原不比等邸宅内の「隅寺」「隅院」と呼ばれる小寺やったんやけど、光明皇后が不比等より邸宅を相続し皇后宮内寺院になりました。 今回は御本尊である十一面観音菩薩立像の「春季ご開帳」に合わせて行ってきました。

ちなみに、玄昉という僧は 唐から多くの経典を持ち帰り、般若心経を広めるために勤倹力行した立派な人物なんですが生涯は波乱万丈で面白いんですよ。そんな玄昉さんのコトも 海龍王寺公式ホームページ に漫画でわかりやすく紹介されているので興味があれば見てください。

そしたら、ぼちぼち行きまっか。


場所は法華寺のすぐ近く、奈良交通バス「法華寺」バス停から100mぐらいです。今回は近鉄「西大寺駅」からバスに乗りました。 バス停の付近には案内板があるので すぐわかります。

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バス通り沿いにある 表門(山門)。 立派てな感じではないんやけど、このこじんまり感がいいね~。


表門をくぐって中に入ると、築地塀に囲まれた参道があります。

元々は白く塗られていたであろう築地塀が、いい雰囲気を醸し出してるわ~。


境内に入ってすぐにある手水舎。 小っちゃくて龍神さんもかわいい。


境内入って正面にある西金堂。

何度かの修復はあるのですが、一部に奈良時代の木材を残しているとか。 こちらには国宝の『五重小塔』があります。


塔の高さは約4mと非常に小さく 模型と思いがちなんですが、なんと建造物として扱われているそうです。 かなり細かく精巧な造りです。


創建当時には西金堂と向かい合う形で東金堂が建っていたそうですが、現在は基壇の跡を残すのみでした。 こちらにも五重小塔があったんやって。


そしてこちらが、御本尊の十一面観音菩薩立像の置かれている本堂です。

堂内の秘仏 十一面観音菩薩立像は、光明皇后が自ら刻まれた十一面観音像をもとに、慶派の仏師により造立されたとか。 優しいお顔立ちやプロポーションも素晴らしいが、なんと言っても装飾具が見事!! 精巧で精緻に作られた冠帯や垂飾などは精美の極み。天衣や腰布は色や文様も残っていて メチャメチャ綺麗。 いやほんま、絶対これは見とかなアカンわ。

また十一面観音の厨子の両脇におられる愛染明王像、不動明王像は 超男前。表情が素晴らしい!   そして男前の明王像とは対照的に文殊菩薩像、毘沙門天像は “どういう感情なん?” って思わせるちょっとオモロイ表情。    いやぁ、イイっすね~。

その他、平城宮 朱雀門の門額の雛形となった『寺門勅額』、天平時代に書写された般若心経『隅寺心経』、先代住職が自ら刻んだ四国八十八箇所の御本尊像(八十八体)などもありました。



そしてこちらは、後に興正菩薩の諡号を賜る僧 叡尊(えいそん)に中興された経堂です。

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昭和40年~42年にかけて行われた解体修理の跡が、はっきりと見られます。



境内の南西部にある龍王舎では、ミツバチの巣を保護しているらしく 右端の厨子の隙間からたくさんのミツバチが出入りし飛び回っていました。 緑も多いし 花もぎょうさん咲いてるし忙しそうでしたよ。


十一面観音菩薩立像はご開帳期間が決まっているので いつでも拝観できるとはいきませんが、細かい組木の『五重小塔』や木造の『寺門勅額』などなど仏像ファンならずとも見どころはいっぱいです。 みなさんもぜひ!


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