今回 紹介するのは、天王寺区上本町にある正念寺(しょうねんじ)です。 前回の金臺寺(こんたいじ)と同様に こちらのお寺にも戦災を逃れた平安時代造像の仏像があるんです。 事前に拝観のお願いをしていたので、この日がくるのが楽しみでした。
ほな、ぼちぼち行きましょう。
正念寺は浄土宗の寺院で『蓮門精舎旧詞(れんもんしょうじゃきゅうし)』という書によると創建は 慶長2年(1597)だそうです。 昭和20年(1945)大阪大空襲で山門・観音堂を残して他の堂宇を焼失。 その後昭和37年(1962)に本堂・庫裏を再建したとのこと。 最寄り駅はというと 近鉄「上本町駅」で徒歩約8分の場所にあります。 それにしても今回拝観させていただく仏像たち、戦災による大火の中 よくぞ残ってくれたことです。
山門をくぐって境内に入るとすぐに本堂が見えます。 平安時代造像の仏像は 現在こちらに安置されているんだそうです。 ではでは、早速お邪魔させていただきます。
まずは、本堂中央におられる御本尊に合掌…。
こちらの阿弥陀三尊像は、本堂の再建とあわせ新たに作成されたとのことで とっても綺麗です。 お顔もシュッとした男前ですね。
須弥壇(しゅみだん)を取り囲み配置された四天王は 勇ましいポーズながらも可愛らしいお顔です。 こういうカワイイ感じの仏像を見てると、欲しくなんねんなあ。 最近はアマゾンとかでも フィギュア的なやつ たくさん販売してるもんね。
そして御本尊のすぐ横、内陣に戦火を逃れられた三体の仏像がおられました。 左に江戸時代造像の地蔵菩薩立像、中央に平安時代造像の聖観音菩薩立像、右に同じく平安時代造像の毘沙門天像です。 そか、今ではこんな感じで並んではんやね。また元のお堂に帰れる日がくるといいのにねぇ。なんてちょっぴりおセンチな気分になっちゃいました。 まあ、余計なお世話かな…。
まずは、中央の聖観音菩薩立像。 すらりと長い脚の優美な佇まい。 天衣(てんね)や裙(くん)の彫りもクッキリと美しい。
上半身だけ見ると 腹部から胸板、肩回りにかけて肉付きがよく、脚部とは対照的にも感じられます。 指先の造形も美しい。
ぽっちゃりとした頬から顎のラインに入った木目が、これまたイイっ!! 優しさに溢れるお顔立ちは 鼻筋や目の彫りの差からなのか、右側から見るお顔 と左側から見るお顔が 少し違っても見えました。
いやぁ、なんとも魅力的な聖観音菩薩立像です。
次にこちらの毘沙門天像。 胴体などにまあまあな摩滅も見られるんやけど、威圧感と重厚感がスゴイ! 大きい鼻に 吊り上がり飛び出た目玉。 イカツすぎるっしょ!! 横におられる聖観音菩薩像とはかなり対照的な感じですね~。 私が小っちゃかった頃は、こんな感じの厳ついオッサン ようけおったわ~。
それと気になった点が一つ。 毘沙門天像の後ろに掛けてあるパネル写真なんやけど、宝棒を持つ右腕の角度が違うねんなあ。 ご住職に聞いたところ、なんでも以前 大阪市の文化財指定にあわせ調査に出した際、学芸員から指摘があったそうで修正されたとのこと。 たしかに毘沙門天像の腕の部分は後補の跡がみられるもんね。そん時にでも変わってしもたんかなあ? ん~、でもパネルの毘沙門天像もカッコイイけどねぇ…。
最後にこちら、美しい彩色が残る地蔵菩薩立像。 ちょっとリアルなお顔立ちは、見る角度で表情が違うようにも見えました。 ホンマ こういうのん彫る仏師の人ってスゴイね。
いやあ、見ごたえありました。 大満足です! また機会があれば参拝に来ようと思います。 本日はありがとうございました!! では…。
※今回の撮影やブログへの記載は ご住職より許可をいただいています。