金臺寺 仏像見聞

大阪

今回は天王寺区下寺町に建つ金臺寺(こんたいじ)に行ってきました。 こちらのお寺、2019年10月に 大阪市教育委員会が主催する『金臺寺仏像群の特別公開』での拝観のチャンスがあったのですが、その時は仕事の都合で拝観することができず ず~っと思いを馳せていたんです。 今回、一般での参拝 及び 拝観をお願いしたところ、ご厚意で その機会に恵まれたので紹介しようと思います。

ほな、今日もぼちぼち行きましょう。


金臺寺(こんたいじ)は 天王寺区下寺町に建つ浄土宗寺院で創建は慶長11年(1606)、元々は大坂の安堂寺町堺筋(現在の中央区南船場1丁目あたり)にあったのですが 大坂の陣以降に西寺町(現在の下寺町)の街区形成に伴い明暦2年(1656)に現在の場所に寺門を構えられた寺院です。 すぐ横には『天王寺七坂』の源聖寺坂があり、最寄り駅は大阪メトロ(地下鉄)「谷町九丁目駅」か「四天王寺前夕陽ヶ丘駅」で徒歩約10分ですね。

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山門をくぐって正面に本堂があります。 本堂は浄土宗寺院では大阪市内で最古だそうです。 またこちらの金臺寺は 本堂、庫裏、書院、山門、鐘楼、観音堂、地蔵堂と いずれも江戸時代の建物で『金臺寺建物群』として大阪市の指定文化財となっています。  

いやぁ、木々の緑が美しいキレイな境内っすね~。 ではでは、早速 本堂へとお邪魔させていただきます。


まずは、合掌…。

本堂中央には 御本尊の阿弥陀如来坐像が鎮座されています。 造像の時期は 室町~江戸時代と詳細は不明とのことでしたが、金色の天蓋にも劣ることのない美しいお姿に 俗物全てを見通されているかのようなお顔立ち。私個人的には厳しいお顔の印象を受けました。 また美しい文様の光背におられる化仏の如来は、逆に少し笑みを浮かべられているのが印象的でしたね。


画像左 観音菩薩、右 勢至菩薩

また阿弥陀三尊として両脇侍におられる菩薩像が、輪王坐というわけでもないんやけど 片方の膝を少しだけ立てられているのも印象的でしたね~。 なんかチベット仏教のミラレパ像のような感じです。


内陣を取り囲む四本の柱には彩色の美しい四天王が睨みを利かせています。


画像左 善導大師像、右 法然上人像

本堂内には他にも 浄土宗の開祖 法然上人 と 法然上人の夢に現れた 心の師 善導大師の立像が鎮座されています。 こちらは いずれも江戸時代に造像されたものだそうです。


そして本堂の外陣の天井には ド迫力の龍の像が!!  八部衆の龍がここで仏様を守ってんやね。 漆黒の雲から飛び出す龍と 欄間に彫刻された天女の姿が対照的なんやけど そこがまたいいっすねぇ。


次に案内して頂いた書院には、阿弥陀如来立像がおられました。 左手に後補の跡が見られるものの、漆箔の美しい 慈悲深い表情の阿弥陀如来立像。 こちらは鎌倉時代の造像との事でしたが、なんと言っても垂れ下がる衲衣の表現が見事! 佇まいの美しすぎる阿弥陀様でした。


続いて案内された庫裡におられたのが天部立像 と女神坐像。

こちらの二像が興味深い。 平安期造像の天部立像は 今では両腕に剣を抱え韋駄天として祀られているが、元々は兜跋毘沙門天だったとか。 そうなると その前に座ってらっしゃる女神像は吉祥天なんかなあ? とかいろいろ想像を掻き立てられるんやけど、実は女神像は江戸時代造像だとか。 女神像は現在 左手が無いんやけど 近い将来調査が進んで 持ち物とか特徴が判明して修復されるといいですね。 


そしてこちらが観音堂です。 中央の厨子に千手観音菩薩立像、両脇に三十三観音菩薩像(現在は26体)が祀られています。

こちらの千手観音菩薩立像、平安期造像で頭上面や手など修復がされているのですが なんと24臂のめずらしいお姿。瞳を閉じられ瞑想に耽る少し童顔なお顔立ちがいいですねぇ。 衣紋や表情は浅く彫られているようなのですが、自然と色が変わった条帛(じょうはく)や裳(も)の部分が ちょっと神秘的にも思えますね。


最後にこちら地蔵堂です。 江戸時代造像の地蔵菩薩立像は 凛としたお姿にリアルなお顔立ち。 べつに悪いコトはしてないんやけど、ちょっぴり怖かったです…。


笑顔を絶やされないご住職、感謝です。(本堂にて撮影)

いやぁ、素晴らしい仏像群でした。 今回、拝観させていただいた上に 寺歴や仏像にまつわる所以など いろいろなお話も聞かせていただき 本当にありがとうございました。 コロナが収まり また特別公開などあれば 絶対にまた参拝したいですね。 では、今回はこのへんで…。

※今回の撮影やブログへの記載は ご住職より許可をいただいています。


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